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今週の書評8/30

<毎日新聞 2009年8月30日 書評欄>

発刊日が選挙の日ということもあって、政治関連の書籍の紹介がチラホラ。

●公平・無料・国営を貫く 英国の医療改革 竹内和久・竹之下泰志著 伊藤光晴評

以前に医療を国有化(医者は公務員)してしまえばいい、って書いたことがあるんだけど、さすがにそれは暴論(というより不可能)かなと思っていたら、英国では1948年にそうなっていた。

「福祉国家の理念ーベバリッジ報告ーを実現すべく、労働党アトレー内閣の保健相ベバンは、医師会会員の85%の反対を、国民世論の85%の賛成を背景に説得し、全国2600の病院の国有化と開業医の公務員化を行い、全ての国民に、公平に、無料で医療サービスを提供する体制を作った(1948年7月) 自らも炭鉱労働者であったベバンは、多くの人が医者にかかれない実情を目にしてきた。これを正さなければならないという強い意志が、公平・無料・国営を貫く国民保険サービス(NHS)を創りださせたのである。 MHSでは「かかりつけ医(GP)」の制度が重要である。イギリスに住む人は誰でも、このGPに登録し、まず電話しこのGPにかかり、GPは必要があれば適当な病院なり専門医に紹介する。GPの収入は登録された人数(約1500人)をもとにした基本給に、改革以後、付加的手当てが多種類加わり、診療は、朝八時半から昼食をはさんで夕方の五時半まで、それ以後はー改革以後と思われるがー十時まで当番GPに廻される」

制度には必ず問題が生じ、完璧では勿論なかったようだが、その後変遷を経て、ブレア政権の時に、サービスや不正の課題について改善を行ったようだ。

イギリスの社会的な意志というか、例えば国営BBC放送が作る良質な番組などを見るとき、市民と公共機関の相互の信頼関係を感じるのは僕だけだろうか。日本のNHKも最近は頑張ってると思うが、どこか決定的な違いを感じる。編成権を持つ幹部や制作TOPの精神の健全性とでも言えば良いのだろうか。

恐らく、全部とは言わないまでも、その背景にいてバックアップする政治家に良質な人材が多いのだと思う。

加えて・・・・、日本のマスコミや政治家は、どうしてこのような英国の制度を「ひとつの選択肢として」紹介することすらしないのだろうか。

少なくとも僕は全く知らなかった。

●株式会社中華人民共和国 徐静波著 森谷正規評

「G2と言われ米国と並んで世界の二大強国になると予想されている中国の政治はどうなのか。共産党政権は強大な国へ導くことができるのか。一党独裁の強権政治と見られているが、その内実はどうであるのか。”この国はサラリーマン組織である”と副題に掲げる本書を読むと、意外な政治と行政の仕組みにやや驚かされる」
「胡錦濤主席の出世への道のりが詳しい。地方の茶葉専門店の息子で、精華大学水利工程系を卒業し、最貧の地の甘粛省に配属されて、五年間ダム建設に従事した。省建設委員会主任の秘書になったのが転機であり、中央党校で教育を受けて、共産党青年団で出世していく。辺地チベット自治区の書記つまりトップになり、行政能力が認められ、中央に呼ばれて着実に国のトップへの道を歩んだ。つまり現場でこつこつ仕事をして実績を上げて昇進したのであり、サラリーマンと同じだというのである」(温家宝総理についても似たような説明がこのあと続く)

「この二人は、いまでは三分の一にもなった自民党の世襲議員とはまるっきり異なっている。日本の政治家には官僚出身も多いが、中央官庁で大きな権限を基に華やかな業績を上げた人たちであり、やはり違っている。中国では、江沢民、朱よう基も理工系であり、現場で働いた経験を持っているのが、日本との大きな相違だ」

「そこで、政治家と官僚の関係が日本とまったく異なってくる。政治局委員、国務委員、各部の部長(大臣)など政治家の多くが経験豊富な専門家であり、したがって部下の官僚へ依存するなどありえない。科学部の新しい大臣は、ドイツに学んで、アウディに勤めて、ドイツ自動車業界の精鋭10人の一人に選ばれた技術者である」

「このような現場経験を持つ人たちが政治を担うことになるのは、中国には選挙がないからである。自分の仕事に専念してきた各分野の人たちの中から優秀で有能な人材が選ばれて、地方政治に入り、抜擢されて中央に進む。その政治の世界では、選挙運動、地元への対策に時間を割くことがまったく必要ではない」

「本書は良い面ばかりを取り上げているという印象はあり、悪い面は、ひどい汚職の他はふれていない。だが、しばしば指摘される「太子党(大物政治家の子弟)」の格別の優遇は、国有企業などではあるらしいが、政治の世界では日本と違って中枢には入れない。専横から汚職につながる例は挙げている。だが胡主席は厳しく監視しているようだ。一党独裁の強権政治は、良いはずがなく、民主政治が良いに決まっている。しかし良いと強いは別であり、発展途上国では、開発独裁と言われるように、強権政治が経済発展に適している場合が多いのは、歴史の事実である」

僕にとって非常に興味深い内容であるため長く引用した。

中国から感じる特性として、

1)人口の多さ。
2)国家主義と個人主義の混在。
3)教育の偏り、又は不足。
4)ハングリー精神

などがある。共産主義という国家主義の教育に偏していることが原因となって、多くの国民が「極端な合理主義」になっているように見える。合理主義とは「理に合っている」のではなく、強いて言えば「ご都合主義」の類である。一般化も普遍化も出来ないような理屈(共産主義のことではなく、国家運用上の制度)に乗っかって、他国民が当然のこととして抱く常識的な要求は無視される。

個人の質感も特殊だ。主張がやたらと強い。それも、大した話でなくても強力に主張する。これは米国人も同じだが、態度はいくらか柔らかい。(見下した態度にも見えるから、中国人の方は必死さが可愛いと考えても良いのだが、そう思えないぐらい角が立っている)

一方で利害のない人間に対する態度というのは、物静かで温かいというから、もっと訳が判らないくなる。

結局、教育の問題なのかな。教育が充実した時、中国はどのようになるのだろう。

、、、

もう一つ、

評者は「民主政治が良いに決まってる」と言うが、人間の生活における幸福という観点から見たら、現在の人権や福祉概念を保持したまま、政治体制は封建制になった方が、良いのではないかと考える面もある。昨日チラチラとTVで見たサンマリノ共和国(公国かな?)の人々や、ブータンの国家運営などを見れば、西欧型民主主義ばかりが理想ではないと理解できるのではないだろうか。

、、、
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プロフィール

HYPO

Author:HYPO
HYPO(hypo)とは、

●hypo=チオ硫酸ナトリウムの通称
●hypoxia=酸素欠乏症
●hypocrite=偽善者
●hypo(他動詞)=1 ?に皮下注射 する 2 刺激 する 3 増強する
●hypo(接頭語)= 〔正常値より〕下の、異常に低い

※因みに・・・、
カバはhippopotamus

美大中退後、肉体労働を経て店舗プランニングの世界へ飛び込み、都銀のCIデザインなどを手がけた後、今度はマーケティング分野に首を突っ込み、30で独立。
23年ほどプランニング会社の代表を務めた後、ライブバーの経営に手を染めて半年で挫折。就職活動の末入社した設計事務所勤務を5ヶ月でリタイヤし、現在事務所として使っていた自宅の地下を音楽スタジオとして運営中。

学生時代から始めたバンド活動が、なんやかやと続いていて、気が付けば音楽がいつも身近にあった、という感じかな。

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